Azure Tech Day ~March 2024 Edition~
マイクロソフトはAzureクラウドサービスだけでなく、Microsoft 365を含む全ての製品・サービスにAI技術を活用していく方針。機能単位で触れる段階から実装・発展のフェーズに移行しつつある。
DXの延長線上にAIの活用があり、完全に切り離して考えるのは非効率。DXで目指したシステム連携、データ統合、セキュリティ、ガバナンスなどがAIを進める上でも重要な基盤となる。
マイクロソフトがCopilot for Microsoft 365を先行利用した1万人の フィードバックを分析したところ、「意図的な毎日の練習が必要」という 知見が得られた
AIとの対話に慣れるためには、ただ漠然と使うのではなく、 明確な意図を持って継続的に練習することが重要
ChatGPTなどのAIアシスタントをうまく活用するにはコツがある
より良い結果を得るためには、明確で具体的な指示を与える必要がある
AIの能力や限界を理解した上で、適切なタスクを依頼することも 大切
これらのスキルは、一朝一夕には身につかない
だからこそ、意図的に 少しずつでも良いので毎日練習を積み重ねていくことが重要
徐々にAIとの対話に慣れ、より効果的で生産的な 活用方法が身についていく
AIプロジェクトを進める際は、DXの成果や会社のデータ・システムを まず思い浮かべ、AIの機能を当てはめて、ビジネスインパクトの高い テーマを絞り込んでいくのがよい。全社員からアイディアを募るのは非効率。
課題のイメージが明確でない
ここのストーリーを明確にしていくことへのエフォートがかけている
"Problemだ"と思っててRemedyやOutcomeが明確になってない
【AIがもたらす価値】
全社チャットAIを展開してその後アップデートのない会社
使用率が下がってしまう、あるある
チャット欄を渡されて自分の仕事の相談をするか?
20年間検索に慣れてきた、コンピュータに対して「相談」をしたことがない、訓練が必要 売上の上がった企業との座談会
クラウド初期と同じ
「ほんとに使っていいの?」
「入力したことを学習されるのでは?」「出力をコピペしたら著作権侵害とか剽窃で怒られるのでは?」
不安があると使わなくなる
うまく行った会社ではルール・ガイドラインを使った
長文のルールをなげつけるのではなく、免責が大事
「こういう使い方なら心配せずに使って良い」という太鼓判
やって良いことの明確化のルール
モニタリングしている
何の指標でどれくらい良くなったのか計測している
全社共通の機能はおすすめしない
特定タスクをピンポイントで撃ち抜くべき
効果の計測やアピールが容易になる
悪名高いシステムにチャットがついてハッピー
犯罪者もAIを使う、AIを使った方が強いので勝つ
AIセキュリティの観点では、攻撃者もAIを活用しているため、守る側もAIをうまく使いこなす必要がある。守る側が情報を多く持ち、リアルタイムに把握・対応できる態勢を整えるのが重要。
Microsoft Defenderなどのセキュリティ製品にもAIが組み込まれ、SOAR的な自動化や分析の機能が強化されている。クエリの自動生成、インシデントレポートの自動作成なども可能に。
ランサムウェア
クラウドはDXされて詳細が把握されるので防御有利
オンプレミスは把握漏れがあるので穴があり、攻撃者に有利
インシデントのトリアージ
「デジタルツインの世界ができますと、実際現場に行かなくてもそのトラブルの状態が手に取るように分かって、そこでも直すことができると。完全なるメタバースの世界は、開発から設計ないしは試験までの全ての工程を仮想環境上で実行できます。マイクロソフトさんとインダストリアルメタバースの世界を、ぜひ一緒に実現していきたいと考えています。」 人間より圧倒的に速くインプットできる
EdgeでCopilot出してYouTube要約
画面遷移をなくすことの価値
ファイルがOneDriveに保存されてるとコンテキストの共有が楽
完璧ではなくても使う
そろばんで経理する?手書きでスライド作る?
株式会社KMS
社内ChatGPTの利用率が激減する問題
ゲーミフィケーション
みんなが面白がってAIを作るように
KBSはゲーム会社だが、高負荷のサービス運用を少人数で効率的に行うため、AIやクラウドを活用している。人手不足や専門人材の確保が課題。
ゲーム開発の様々な場面でAIを活用。イメージラフ作成、シナリオチェック、デバッグ、ユーザーデータ分析、問い合わせ対応の自動化など。 バックオフィスでも採用面接の効率化や人事評価のサポートにAIを使う。
最初はAIの導入に挫折した。使い方がわからず利用率が下がった。そこで社内システムを開発し、AIをゲーミフィケーションして身近に感じてもらうことで社員の意識改革に成功した。
デモでは、オフィス近くに来るキッチンカーをお勧めするAIを作成。データのチューニングとAIの振る舞いの設定を細かく行うことで、自然な会話ができるAIに仕上げた。
さらにゲームのキャラクター設定をAIに施すことで、親しみやすく魅力的なAIアシスタントを作り出せることを示した。
AIを適切にコントロールし、データと設定を工夫することで、様々な用途に応用可能。社員が自発的に業務効率化のためのAIを作り出す文化ができた。
ゲーム業界でも人材不足は深刻。AIの活用で業務効率化と人材不足の解消を目指している。社内では試行錯誤の末、AIが浸透し始めている。
AIは難しいものではなく、誰もが気軽に触れられるようにしたい。セミナーのブースでAIを体験してほしいと呼びかけた。
遊びから入らせることが大事
いきなり「業務に役立つものを作らねば」ではハードルが高い
ゲームの「いかに課金をさせるか」と同じ
ハードルを下げてまず体験させる必要がある
まず遊びのものを作る
遊びで使ってみる
遊びで使った人の中から「どういう仕組み?」となる人がいる
仕組みを見せる、意外と簡単に作れる
作ると他人に使わせたくなる
バイラルマーケティング
遊びで作っているうちにメンタルモデルが構成されて仕事に有益なものを作れるようになる
例えばリクルーティングメールの作成
遊びのボットと仕組みは変わらない
エンジニアの採用では技術用語などが多いので、技術的知識のない人間には下書きにその情報を盛り込むことに難しさがある
マイクロソフトファブリックは、企業に必要なアナリティクス機能を単一のSaaSサービスとして提供。データレイクからビジネスユーザーまで、一つの場所で作業・活用できる。
ファブリックの特徴は、完全な分析基盤、ワンレイク・ワンコピーによるデータ共有、親しみやすいUI、Microsoft365との連携、コパイロットの搭載など。
福祉用具レンタル等を手がける山下様は、2030年に売上3倍の目標を掲げDXを推進中。その柱の一つがデータ活用の民主化。
山下様では、営業領域のデータ分析から着手し、Excelでの作業を自動化。まず小さな成功を積み重ね、将来的には全社展開と内製化を目指す。
データ活用の重要性が高まる中、進化を続けるマイクロソフトファブリックは有力な選択肢。ジールではファブリックの体験ワークショップや検証、導入支援メニューを提供。
データ活用では、いきなり大規模に始めるのではなく、クイックウィンを重ね効果を実感しながら着実に進めることが肝要。スキルのある支援者と進めるのが望ましい。
マイクロソフトはユニファイドサポートの一部で、指定エンジニアリングメニューを提供している。これにより、マイクロソフトのエンジニアが直接ユーザーのAIプロジェクトを支援できる。
コパイロットを作るには、Azure OpenAI Service、Azure AI Studio、開発ツール、Microsoft Fabric、アプリケーションインフラなどが必要。中心的な役割を果たすのはAIオーケストレーション。
コパイロットを作る際は、ラグやプロンプトの基本知識、モデルやサービスに関する知識、インデックス設計、セキュリティ設計、信頼性設計、プロンプトエンジニアリングなど幅広いスキルが求められる。
マイクロソフトのソリューションアーキテクトは、アップスキル支援、AIインフュージョン、ハッカソン、インフラ面のセキュリティレビューなどを通じて、ユーザーのコパイロット開発をサポートする。
コパイロットの開発は、従来のアプリ開発とは異なるスキルと知識が必要。ソリューションアーキテクトのノウハウを活用することで、効率的に進められる。
ソリューションアーキテクトによる支援は人気が高く、需要が増えることが予想される。早めに検討・相談することが推奨される。
claude.icon石垣社が Microsoft Azure を活用してIoTと下水道機器を組み合わせた遠隔監視クラウドサービス「miyoru」を開発したことがわかりました。
要点をまとめると以下のようになります。
石垣社は下水道機器のリーディングカンパニー。2020年頃からDX推進に本格的に取り組み始めた。
石垣様は香川県の水インフラ分野で活動する製造業。従業員2000名ほどのグループ企業。
2021年、自動運転型の水中ポンプにIoTセンサーを付けることで、スマホから遠隔で稼働状況を確認できる「miyoru」クラウドサービス開発をスタート。
2021年頃からマイクロソフトと関わりを持ち始め、アセスメントを実施。マイクロソフトに対する印象が大きく変わった。
Microsoft Azureの支援を受けながら、miyoruを開発。各部門の意見を集約しながら、顧客の課題解決を目指した。
2015年からゲリラ的にIoTの取り組みを開始。社内の反対もあったが、2021年に本格的なクラウドサービスの検討を開始。
国交省のオープンデータ
Raspberry Pi
Azureのパーツが簡単に作れる高い生産性により、わずか1年でmiyoruを開発できた。リモート会議等で開発を加速。
FTA(技術支援)
開発は4ヶ月
アセスメントの結果、Azure移行のコストメリットを確認。ファストトラック for Azureも活用し、わずか4ヶ月でクラウドサービス「Miyoru」を開発。
miyoruは2022年8月の下水道展で初公開。顧客から大きな注目を集めた。
Miyoruは水環境をAIで見通すプラットフォーム。老朽化したポンプの更新提案など、機械メーカーのアフターサービスにAIを活用する構想がある。
展示会への出展を通じて、Miyoruが製品ラインナップの一員となった。海外からの引き合いもあり、グループとしてのプラットフォームに。
石垣社はmiyoruを通じ、IoTとデータ活用で新たなビジネス価値創出を目指す。水環境の課題解決に貢献したい考え。
従業員がMiyoruという名称に愛着を持ち、様々なアイディアが社内から湧き出てくるようになった。
2023年8月には従業員向けに「miyoruGPT」の活用を開始。Azure OpenAI Serviceを使い、社内の生産性向上を図る。
以上のように、石垣社は製造業のDXの先進事例といえるでしょう。顧客ニーズを起点に、自社の強みとクラウドを組み合わせて新サービスを短期間で実現した点が特徴的です。
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LIFULL
不動産業界初「生成 AI を活用した一般ユーザー向けサービス」を提供、Azure OpenAI Service の採用で高い安定性と安全性を実現
ライフルは2023年5月にGenerative AIプロダクト開発室を新設。OpenAI製品を使い、まずはとにかく何かを作ってみようと4つのプロダクトをリリース。
最初の2つのプロダクトではOpenAIプラットフォームを使用。設計したユーザー体験の実現や、安定したサービス提供に苦労した。
その後、Azure OpenAI Serviceが使いやすいことに気づき、3つ目のプロダクトから導入。豊富なクラウドサービスと、Prompt Flowによる大量の試行錯誤が可能になった。
最新作はノムラ不動産ソリューションズとタッグを組み、Azure OpenAIで開発。安定性とセキュリティ面でAzureのメリットを活かせた。
Azure OpenAIは、個人情報保護や海外移転の課題にも対応。AIコンテンツセーフティ機能でいたずら対策も可能。
Azureは最新モデルのプレビュー提供も早い。ただし日本リージョンのクォータ不足は課題。
1年でリリースした4つのプロダクトから、ユーザーがどんな場面でどう問いを立てて使うかの洞察を得た。UX戦略に重要。
生成AIプロダクト開発にはフルスタックなAzureの活用が有効。みんなで使って日本リージョンの強化を。
価格.comの安藤様によると、開発組織で最も大切なのは心理的安全性。誰もが率直に意見を言い合える環境づくりが重要。
価格.comでは生産性の定義をクリエイティブな作業と分けて考えている。繰り返し作業の効率化にはCopilotが有効だが、生産性を簡単に測るのは難しい。
Copilotの導入により、コーディングの心理的ハードルが下がり、テストコードの自動生成で全体の品質が上がった。知見も増えスキルアップにつながっている。
一方で、Copilotに頼りすぎて自ら学ばなくなるのではという懸念もある。ツールの活用方法次第で、エンジニアの成長度合いに差が出る可能性も。
後者の人はAI以前にはコピペプログラミングをしていたので状況は変わらないのでは
27年運営している価格.comでは、新しい技術への挑戦と、レガシーシステムへの真摯な向き合いの両立が課題。コストや遺憾に対する組織の理解を得ながら進めている。
将来的にはソースコードの文脈を理解し、ドキュメント生成や関数の説明などができるようなAIの登場に期待。ブラックボックス化の解消につながるのでは。
最後に小林様より、マイクロソフトもユーザーとしてCopilotを活用しながらビジネスを行っていると話があった。Copilotの名称の由来は「副操縦士」であり、ユーザー企業の成長を助ける立場でいたいとのこと。